ピカピカの一年生。
(パンダ談)
あのね、聞いて。
思い出話なんだけど。
ピカピカの一年生になったます。
背中には、おめでとうと買ってもらった新品のランドセル。
太陽の光を反射して、まるで鏡のように眩しかったんだ。
僕のランドセルは本当に鏡のようにピカピカで。
顔が写るくらい黒光りしていた。
入学する前、僕たちはなぜか神社に連行されます。
そこには神様がいるらしくて、生年月日が一番早かった僕は、それだけで代表として「榊(さかき)」とかいう食べられない植物を供える大役を任されたます。
お祈りの作法なんて、パンダには難解すぎるました。
見よう見まねで手をパンパンしたけれど、その拍手と礼の順番、僕は確信しているます。
「絶対に、神様に笑われる順番でやった」と。
神様との最初のコンタクトでボタンを掛け違えた僕はこの瞬間、人生最初の大きな「うっかり」を献上してしまったのかもしれない。
あせるます。
入学式は、どこもかしこもピカピカ。
新築の校舎も、同級生の顔も、これから始まる地獄のような宿題の日々を予感させないほどに輝いていたます。
式が終わると「校長室ツアー」なるものがあります。
そこで父が、僕の耳元でこう囁くました。

いいか。
この先かなりの善行を積むか、あるいは取り返しのつかない悪事に手を染めない限り、ここへは二度と入ることはないぞ。
その言葉は、僕の小さな胸にわくわくとした野望を植え付けたます。
数年後、僕が実際にその重厚な扉を開けることになるなんて、当時の僕はまだ知らない。
それはまた、別のお話。
でもね、ピカピカの裏側では僕の知らない大人たちの事情が「ぐにゃり」と渦巻いていたます。
近所のお友達たちが、一斉に消えたました。
どうやら「ふきょう」という名前の巨大な怪物が、会社という場所をムシャムシャ食べてしまったらしい。
関西から来た人たちは、あの日、静かに西の方へ吸い込まれて消えていった。
大好きな親友のくんちゃんも、いなくなったます。
僕のランドセルはあんなにピカピカなのに、友達が消えた後の公園はカサカサに乾いていて悲しい風が吹いていた。
君も知っているよね?
大切なものが指の隙間からこぼれ落ちていくとき、僕たちはただ「ねむくなったます」と呟いて現実から逃げることしかできない共犯者なんだ。
結局、僕たちの小学校生活は始まった。
担任は、ムースみたいにふわふわした、かわいいそばかすの女の先生。
先生の笑顔を見るたび、僕は神様に間違った作法で祈ったあの日を思い出して。
少しだけ胸がチクリと痛むました。
ちなみに、 ミツバチは働きすぎて寿命が近づくと、自分の体が動かなくなることを悟って、巣の仲間を汚さないように一人で遠くへ飛び去って死ぬんだぱん。
一生懸命に生きてきたその果てが「孤独な最期」だなんて、この世界のバグは修正したほうがいいと思うんだぱん。
公園の濡れたベンチに、誰も読まないチラシが張り付いていた。
しらんけど。
神様に向けた拍手のズレは、僕の人生が少しずつ歪んでいく予告信号だったのかもしれないます。
大人になった今だから言える、あの「ふきょう」に消えた隣人たちの、本当の末路を教えるます。
飼育員さんだけに、内緒の話があるます。



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