透き通った身が美しく輝く、呼子の名物・イカの活き造り。
誰もが羨む美食の裏側には、透析患者としての「徹底した自己管理」と「覚悟の選択」がありました。
急に訪れた贅沢なチャンスを、僕はどう掴み取ったのか?
数値と食欲の狭間で繰り広げられた、ある一日の物語をお届けします。

ねぇねぇパンダくん!
呼子の「河太郎」に行ってきたんだって?
イカの活き造り、超贅沢じゃん!

そうだぱん。
急に決まった予定だったけど、数値を整えていたおかげで、最高のコンディションで挑めたんだぱん。

ホッホ!
昼過ぎなのに1時間以上待ちとは、さすがの名店だホォ。
西日に耐え抜いた空腹こそ、最高のスパイスになったに違いないホ。

えっ、ビールも飲んだの!?
でもご飯のおかわりは我慢したんだよね。
その「引き算」が、中2日空けの透析でもドライ体重で帰ってこれた秘訣なんだね。

そういうことだぱん。
ササイカの甘みと、あの透き通った食感…忘れられないぱん!
予定外の誘いだったが、迷いはなかった。
日頃から「いつ何があってもいいように」と節制を続けていた自分を、この時ばかりは褒めてやりたくなった。

呼子の名店「河太郎」に到着したのは、昼のピークをずらした時間帯。
もう、おやつの時間だった。
しかし、現実は甘くない。
そこからさらに1時間以上の待ち時間となった。
案内された時、店内に差し込む西日は驚くほど強く、空腹の身にはなかなかの試練だったが、それも「最高の一口」への助走だと思えば悪くない。
もしスムーズに入りたいなら、平日のさらにお昼過ぎを狙うのが賢明かもしれない。

前回は売り切れで飲むことができなかったクラフトビール。
初めて巡り逢えて嬉しかった。
飲んでみて、好きなのはスーパードライだった。
けど、なんか独特の香りと味わいでおもしろいと思った。
いい経験になった。

今回の主役はササイカだ。
実を言うと、僕は普通のイカの刺身はそれほど得意ではない。
あの独特のねっとりとした甘みが、少し苦手なのだ。
しかし、活き造りとなれば話は別。
あの角が立ったような鮮烈なコリコリ食感と、噛むほどに広がる上品な旨味、スッキリとした甘みは、僕にとって至高の贅沢だ。
お店が推奨する「作法」に従って箸を進める。
- まずは、お塩で。
イカ本来の甘みが輪郭を持って立ち上がる。 - 次に、その塩にレモンを絞って。
さっぱりとした酸味が、ササイカの瑞々しさを引き立てる。 - そして、お醤油で。
やはり甘めの九州のさしみ醤油と白米との相性は最高だ。

本当はごはんをおかわりしたかった。
けれど、そこはグッと堪えた。
車内で勧められたジュースを断ったのも、すべては前回売り切れで悔しい思いをした「クラフトビール」を心から楽しむためだ。
そしてごはんをあきらめたのは翌日の透析のためだ。
透析生活において、外食は常に「計算」との戦いになる。
特に今回は中2日の空き。
水分の管理には細心の注意が必要だ。
薬を飲むための最低限の水分以外は口にせず、間食も一切絶った。
そのおかげで、急な外食も思いっきり楽しむことができた。
ビールまで楽しめて最高だった。

メインの活き造りを楽しんだ後は、お楽しみの天ぷらだ。

いつもは天つゆ派なのだが、ふと添えられていた「ごま塩」にゲソを合わせてみた。
これが驚くほどおいしい。
新しい発見だった。
次は最初から塩でいくのもいいかも。
美食の時間は、あっという間に過ぎていく。
結局、食事を終える頃には早めの夕食といえる時間になっていたが、心もお腹もこれ以上ないほど満たされていた。
翌日の透析室では、僕は確かな手応えを感じていた。
週の最初の透析から、ドライで帰れたこと。
なによりも嬉しい今回のご褒美の仕上げだったし、きちんと体重管理ができたことが自信にもつながった。
我慢すべきところを明確にし、楽しむべき瞬間に全力を注ぐ。
魔法のように制限が消えることはないけれど、こうして知恵と自制心を持って向き合えば、最高の「普通の生活」は維持できるのではないだろうかと思う。
ササイカの透明な輝きを思い出しながら、僕はまた日常を淡々と積み重ねていく。

急な誘いにも動じず、日頃の管理で「勝利」を掴み取ったパンダくん。
イカの活き造りを堪能しつつも、しっかりとドライで帰還するその姿は、実に見事だホォ。
次はどんな「日常の真実」を聞かせてくれるのか、今から楽しみだホ!



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